2007年12月31日

☆ 母のクーデター 2005.7 /短縮版

試聴:母のクーデター
     
2003年、夏 母が突然、騒ぐ! こんなとこまで連れてきて あんたはひどい息子さ
今すぐ私は帰るよ 母が身支度を始める よろける足を踏ん張りながら 帰り支度をする
理由なんて分からない だけど母にとっては大切な事 
今でも独りで暮らせると言う それはそれで大事な事 
私のバッグはどこにある 黄色の財布はあるだろうね?
バスはどこから出るのかい ここから佐世保は遠いかい?
2003年、夏 母が突然、騒ぐ! 今から佐世保に帰るよ そこで独り暮らすから
 
2003年、夏、母が突然騒ぐ こんなとこまで連れてきて あんたはひどい息子さ
左手は私の腰のベルト 右手で身支度を始める よろける足を踏ん張りながら 帰り支度をする
悲しさ辛さは誰にでもある 思い通りにならない事も 
ひどい息子につれない嫁だと 何と言われても構わない
私の腰のベルト 母には必要なはずなのに
静かな暮らしの中で 母は私に気づかない
2003年、夏 母が突然、騒ぐ! 母が佐世保に帰ると言う 私のベルト握ったまま 
 
制作背景:
立田山自然公園での歩行訓練で自信をつけた母の言動が一転します。「私は帰るよ。やっぱり佐世保で独りで暮らしたい・・」と。早朝から衣装ケースを開けては帰り支度を始める日が多くなります。嫁は「尚さんと続けた訓練でどうにかこれまでになれたんですよ」と言いますが、「そんな事はしていない、私はいつでも歩いていたさ」と答えます。そう言う母の左手は私の腰のベルトを掴んだままなのですが。。。。母は私の身体でさえ自分の身体の一部のような勘違いをしていました。確かに、団地内の平坦路では右手の杖だけでかなりの距離を歩くようにはなっていたのですが、下り坂が危険でした。ただでさえ前傾気味の歩行ですから下り坂だと両足が揃った時などは[戸板が倒れる]ように前方に倒れ込みます。だから、歩けるようになったと言っても、常に見守り介助が必要なのです。この頃、母の認知症の進みが早く、母自身の表情にも自分自身の言動の不一致、記憶の前後などに戸惑うケースが多くなっていきます。「私は何を言ってんだろう」、「何をしようとしているのかしら・・」などですが、長崎に住む長女の紘子からの電話があった後でも暫くすると、「えーと8時だね。さて、紘子にでも電話をしてみようかね」といったような感じでした。
posted by たかっさん at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 介護家族

☆ 春待ち人 2004.1

 試聴:春待ち人
 
@穏やかに晴れた冬のある日 突然、窓越しにハラハラと雪が舞う そして、母は・・コタツで横になる 
隙間風、母の耳をかすめ 思わず、身を震わせ毛布引き寄せる そして、母は・・背中を丸くする
障子開け見えぬ目で季節を知り 今日も月日の違う暦をめくる そして、母は遠い冬を語り出す
降る雪は花の香り奪い 木々の緑さえ 全て覆い隠し そして、母の記憶を奪っていく
雪解けて水温む春は・・どこ? 花吹雪き舞い落ちる春は・・いつ?
川面には光輝く そんな春よ来い 爛漫の花をたたえ そんな春よこい
 
A日が沈む 冬の日が暮れる 突然、ベルが鳴る 娘との会話 それは、母が・・母に戻るひととき
電話が済む 母が私に聞く 私は、今誰と何を話したの? そして、母は・・深いため息をつく
人はいざ、心も知らず故郷は・・突然、母が詠む百人一首 そして母は故郷を語り出す
母が待つ春・・それは永遠の春 痛みのない春、別れもない春 母はそんな春待ち人
雪解けて水温む春は・・どこ?  花吹雪き舞い落ちる春は・・いつ?
川面には光輝く そんな春よ来い 爛漫の花をたたえ そんな春よこい
雪解けて水温む春は・・どこ?  花吹雪き舞い落ちる春は・・いつ?
川面には光輝く そんな春よ来い 爛漫の花をたたえ そんな春よこい
制作背景:
老いは・・冬に進む気がします。母の転倒する時期は晩秋から初春に掛けてが多いですね。特に、認知症は寒さで血管が萎縮して血流の悪くなる冬場に進行するようです。血圧も冬場は高めで推移しますよね。冬場のお風呂も注意しましょうね。心臓が弱い母には浴槽内の水圧が気になります。でも、半身浴などするような人ではありません。2008年には母の95歳がやってきます。頑張っています。いろんなものに守られて過ごす老いって微笑ましいなあと思います。
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2007年12月24日

☆ 義母の旅立ち  2006.02

試聴
 
@
2006年1月20日の雪の夜 妻の母が召されました
家族を帰したその後の とても安らかな旅立ち
私は「お疲れ様」と額に手を当て 両手で顔を包みました
召されたなんてとても信じられない まだとても暖かでした
「お母さん、目を開けてよ・お願いだから」と 妻は身体を揺らしました
「ノコちゃん、ありがとう・これでサヨナラね」 声が聞こえるようでした
窓の外は雪の夜 小雨の混じる寒い夜
A
2006年1月20日の雪の夜 妻の母が召されました
小雪の舞う日に旅立つなんて 北国生まれの人らしい
9年の長い闘いでしたね 貴女も家族も頑張っていました
そして最後の6年は 食事もまともに採れなかった
キヌさん、今度出会ったら 教えて下さい油絵を
キンちゃん・って私が使い始めましたネ 貴女は気に入っていましたか?
妻は夜の更けるまで聖書を片手に 貴女に語りかけていました
B
妻は僅かな記憶を取り戻そうと 貴女の故郷を訪ねたりしました
そして分かったかしら浜益の写真 貴女はそこに帰ったのですか?
私が知ってる貴女とは 女手一つで子供を育て
お洒落着なんて縁がない だけどいつも朗らかでしたネ
言いたい事ってあったと思う それは数え切れない程に
だけど、貴女は最後まで 我慢,我慢の人でしたネ
私は忘れない貴女の旅立ち 小雪の舞う寒い夜
C
貴女は教えてくれました 私は今になって気付きました
親として最後の務めとは それは子供の目の前で
老いゆく姿を見せる事 朽ちゆく姿を見せる事
それは生きとし生けるもの全てが 迎える自然のなりわい
貴女は見事に闘いましたネ そして・・静かに旅立ちました
94年の長い人生 貴女は立派に生き抜きましたよ
私は忘れない貴女の姿 それは小雪の舞う寒い夜
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☆ DOLL  2006.08

試聴:DOLL
 
@
あんたは気づかない まるで能面みたいに 遠くを見てるだけ            
幾ら話し掛けても 木彫りの人形みたいさ あんたは・・何も応えない      
戯けてみせようか あんたの好きな役者の 声色真似してさ・・
だけどあんたは気づかない 暗い老いの世界へと 踏込む・・つもりかも 
昨日までのあんたは 陽気に笑っていたのに 今は天井・・見てるだけ
もっとソバにお寄りよ 突然、母が話しだす お前は私の子だよね?
母が両手を伸す 細い腕を伸す 私の顔を触り出す 
何も心配ないよと 私は母を抱き寄せる 背中をさすってやる
母は無邪気にはしゃぐ 言葉がなまりだす 幼い頃に戻ってる
やがて、気づけば母は 私の腕の中で 木彫りの人形に・・戻り出す
何て悲しいんだろう そして、切ないんだろう 老いはまるで・・回転木馬のようさ
5分刻みで母になり そして、人形に戻る 老いはまるで・・回転木馬のようさ
これが人生なんだろう これも人生なんだろう 私は独り・・つぶやく
A
実は、あんたはすべてを 分かっているんだと 時に思う事がある  
朽ちゆく自分をさらし 老いゆく姿を見せて 私を試しているのかと
真っ白な心で 向かいあってるつもりさ あんたは俺の・・母さんだからさ 
だけど、あんたは朽ちゆく 駆け足で老いゆく 時の流れを追い越すつもりかい
これが人生なんだと だから、しっかり生きろと 今でも私を・・叱ってる
  
あんたの心が読めない だから教えてくれよ 老いゆく者の気持ちを
あんたが望む事は 別なものかも知れない 私にはそれが分からない 
老いは尊ぶものだと 老いは敬うものだと 知ってはいるけれど
私はあんたのお陰で 泣く事も覚えた 強くもなったみたい
余り得意じゃないけど たまに戯けてみせようか 顔にはペイント・・塗ってさ
何て悲しいんだろう そして、切ないんだろう 老いはまるで・・回転木馬のようさ
5分刻みで母になり そして、人形に戻る 老いはまるで・・回転木馬のようさ
これが人生なんだろう これも人生なんだろう 私は独り・・つぶやく
これが人生なんだろう これも人生なんだろう 
これが人生なんだろう これも人生なんだろう
これが人生なんだろう これも人生なんだろう
これが人生なんだろう これが人生なんだろう 私は独り・・つぶやく
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☆ 蝉しぐれ 2004.05 

試聴:蝉しぐれ
 
@
外は蝉しぐれ 風が途切れた早い朝
早朝野球を終えた私を母が待つ
ホラ、見てご覧 母が空を指差す
遠く青く澄んだ空に浮かぶ ちぎれ雲一つ
目を落とせば 庭に白い花生姜
名前は何かと訊ね 母が歩み寄る
香り届かず 母への想い届かず
いつか母と共に植えし記憶 母にはもう昔
時に母は童になり・・時に母に戻る事も
いつも同じ言葉探しながら昔を語り出す
まるで92年の人生 紐解くように
母に届け! 母に響け! あア・・蝉時雨
母に届け! 母に響け! あア・・蝉時雨
A
目を移せば 遠い空に浮き雲
ふるさと離れて暮す 母が悲しい
母は浮き雲 流れゆくちぎれ雲
遠い記憶の狭間をさ迷う 老いた旅人
あア蝉時雨 母の心に歌えよ
92年の月日を 愛でるように
知るや知らずや ひと夏の蝉時雨
今日も母の心に叫べよ 命ある限り
肩を抱けばいつのまにか 母は娘になりハシャギ
そして、幼い日の兄と私を取違えている
まるで92年の歳月 昨日のように・・
兄を慕う母に響け! あア蝉時雨
兄を慕う母に響け! あア蝉時雨
時に母は童になり・・時に母に戻る事も
いつも同じ言葉探しながら昔を語り出す
まるで92年の人生 紐解くように
母に届け! 母に響け! あア・・蝉時雨
母に届け! 母に響け! あア・・蝉時雨
 

 
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☆ 弥生の頃  2007.05

試聴:弥生の頃
 
どう?・散歩でも出かけましょうか 頬伝う風は冷たいかしら 
そろそろ・桜も峠を越える頃 弥生の月は今日まで・・
貴女は覚えているかしら 佐世保を発つ日の車から見た景色
山には一筋・枝垂れ桜の帯 そう・あれも弥生の頃
お前の・手を貸しておくれ そして・窓辺に立たせておくれ 
お前に伝えたい事がある 風にあたりながらでも・・  
もう・私は独りじゃ何もできない ここでお前と暮らしたいもの
ようやく私は・心を決めたよ・と そう・母が言う
もう・私は独りじゃ暮らせない このままここに居させておくれ
こんなに穏やかな一日なのに 母の迎える春は・哀しい
そう・幾つもの春を迎えた母のはず 今は・弥生の頃 そう・弥生の頃

お前に・あの空が見えるよね 私には全てが雲って見える
この時期・春霞がひどいからねと 私は言葉を詰まらせる・・  
ちょっと庭に出てみましょうよ 言葉を掛けましょうか花ミズキに
今年はお前が咲くのを・見てやれるよと そう・今は弥生の頃
貴方は・佐世保の家を覚えているでしょう 庭は貴方が植えた花で一杯かしら
梅雨を越したら裏庭の茗荷達も 背丈を伸ばして貴方を探すでしょう・・
今度帰るのは皐月の頃かい それとも葉月の頃か?・と母が聞く
そして・法事を終えたら・ここに戻ろうね そう・母が言う 
春よ・母に話しかけてよ そして・抱きしめてやってくれ
やがて・私にも分かる時が来るかしら 母の迎える春は・哀しい
そう・母が迎える94年目の春  今は・弥生の頃 そう・・弥生の頃
春よ・母に話しかけてよ そして・抱きしめてやってくれ
やがて・私にも分かる時が来るかしら 母の迎える春は・哀しい
そう・母が迎える94年目の春  今は・弥生の頃 そう・・弥生の頃
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2007年12月23日

☆ 花ミズキ 2006.04

試聴:花ミズキ
 
過ぎ行く季節の中で 母が老いを急ぐ 
移ろう季節がまるで 私まで弄んでる・・
二年前、母の為にと植えた花ミズキ 
私の背丈と同じくらいネ・・って母が言ってた
朝な夕なに水をやり 大事に育てたが
ふと・・気づけば母の身体が 随分小さくなっている
花ミズキ・君の背丈が伸びたからだけじゃない
母の・・母の身体が少しづつ・・縮んでいる
教えてくれ花ミズキ 母の心が分からない
近頃・母はめっきり 言葉数が減ってきた
hoo hoo hoo hoo
寒さもどうやらやり過ごせたね ほら 見てご覧
施設の庭にも赤い花ミズキ 夏はもうすぐ
「うちにもあるよね?花ミズキ」 母は覚えてる
「もう、見る事もないんだろうね」って・・哀しい事を言う
「よせよ、そんな言い方は・・頑張るのはアンタだろう!」
突然、母は黙り込む 時折、私を睨む
花ミズキ 君と私は似た者同士だね
香り持たない君も・・母の心に入れない
過ぎゆく季節の中で 母が老いを急ぐ 
移ろう季節がまるで・・私まで弄んでいる
hoo hoo hoo
花ミズキ 君の事を母が気にしてた
私はまだ家には帰れない 「歩くのがちょっとネ」ってさ
花ミズキ そしてこうも言ってたよ
「随分、大きくなったろうネ」って 「処で赤かい?白かい?」ってさ 少し寂しいね
だけど・・それでいいと思うよ つかず離れずって言うのか
母が振向けば・・君はいつも母の帰りを待ってる
花ミズキ 待ってろよ! 必ず母を連れて帰るからさ
老いた母の為に君は・・背丈は余り伸ばすなよ
過ぎゆく季節の中で 母が年を重ねる 
過ぎゆく季節の中で 母が老いを重ねる
過ぎゆく季節の中で・・・過ぎゆく季節の中で・・・
hoo hoo hoo hoo・・・
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☆ 頑張れお袋! 2005.12 

試聴:頑張れお袋!
 
ちゅっ ちゅっ ちゅるっ ちゅっ
ここの処、母にはいつもの元気がないみたい 起上がるのも辛いようだ
夜中に急に咳込んだり トイレに何度も起きたり 眠れない事もあるみたい
朝の寒さがデイに行くのを 躊躇わせるのか 朝のご飯の進みも遅い
今年の冬は確かにいつもと違うが 去年の母もこんな感じだった
起きてもなかなか顔を洗う気配さえなく 鏡の前で呆然としている
今は何月? 明日は何曜? 母がよく聞く 以前よりずっと増えたみたい
ちゅっ ちゅっ ちゅるっ ちゅっ
そんな日が続いていた頃 母が骨折をした デイを急に休んだ日だった
嫁も私も仕事で出掛けて4時間くらいは 母が独りの時の出来事
ストーブ消してヒーター止めて自分の部屋で 横になろうと思ったらしいが
勿体ないから居間の電気を全部消そうと ソフアーに乗ろうとして滑り落ちた
余程の痛みか、母は私の携帯電話に 見事に自分で連絡してきた
とんでもない事になったよ 早く帰っておくれ 私は痛みに堪え切れない
頑張れ!お袋 頑張れ!お袋
アンタは我慢強い人だから
必ず歩ける! そう信じている! そして、佐々では千代サンが待ってる
頑張れ!お袋 頑張れよ!お袋 高崎裕士の追っかけをしたいんだろう?
デイでも皆が心配してるよ アンタの吹くハモニカ 待ってる人も居るはず
ちゅっ ちゅっ ちゅるっ ちゅっ
日頃からの心配事が現実になった 母が足を骨折した 
前夜からの雨模様で確かに予感があった 母は雨の降る日を嫌がる
デイを巡って嫁との激しい応酬があった 結局、嫁が譲ったが
母の気持に嫁が負けて折れたのはいいが・・結局、母の足まで折れた
兎にも角にも、今日で入院3週目を過ぎ リハビリもうまくいってるらしい
今年の冬は特に厳しい モノは考えようかも 入院していて良かったのかも
ちゅっ ちゅっ ちゅるっ ちゅっ
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☆ ひととき  2005.12

試聴:ひととき
@
母はコタツの中で両手を擦る そして、痛む膝を擦り出す
私は少し猫背で頬杖をつき 薄目を開けてTVを見ている
やがて母はミカンに手を伸ばす そして、右の頬に当てている
私は穏やかな時を感じながら いつか眠りに落ちていく
漂う香りの中私は目覚める 母は座椅子枕に眠っている
私の前には袋まで剥かれたミカン そして、肩には毛布が掛けてある
嗚呼、こんなにのどかで穏やかなのに こんな暮しがずっと続けばいいのに・・
尽きる事ない命がずっとあればいいのに 母を見ていて・・そう思う
母は生きている それは事実 今は私のそばに居る
何も望まない 健やかであればいい 母を見ていて・・そう、思う
A
誰もがそうだろう 私は18で親の元を遠く離れた
親は頼るもの 永遠にいるものだと勝手に思い込んでいた
そして、幾歳を過ぎ 気づけば父は世を去り 老いに戸惑う母が居た
立つ事さえも侭ならぬ母を見た時 私は自分の生き方を悔いた
時に人を傷つけ 時に父さえ憎み 責めた事はあっても
老いた母を見た時 曲がった背中に手を添え 泣いた事など初めての事
嗚呼、こんなにのどかで穏やかなのに こんな暮しがずっと続けばいいのに・・
尽きる事ない命がずっとあればいいのに 母を見ていて・・そう思う
母は生きている それは事実 私と共に暮してる
妻さえ許せば私の命の残り 母に返したい・・そう、思う
B
やがて母が静かに動き出す 自分で剥いたミカンに目をやる
「これはアンタが剥いたの? 袋まで取ったの?」・・母は、もう・・忘れてる
私は無言で一つ摘んで 母の口に放り込む
「ああ、冷たいね 美味しいね これなら歯茎を痛めない」
お茶でも入れましょう チャンネル変えましょう 相撲が終ってしまうから
貴女の大好きな朝青龍 一番だけでも見たいでしょう?
嗚呼、こんなにのどかで穏やかなのに こんな暮しがずっと続けばいいのに・・
尽きる事ない命がずっとあればいいのに 母を見ていて・・そう思う
母は生きている それは事実 私のそばで暮してる
何も望まない 健やかであればいい 母を見ていて・・そう思う
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☆ 命  2007.07

試聴:
 
あれは・何? 母が私の袖を掴む あれは星 そう・あんたの命
あれは・何? 母が私の腕を掴む あれは俺 あんたの命を守る星
私の母も・いるよね? あの夜空のどこかに 私の事を見ているかしら
叫んでおくれよ! 私はまだここで暮らすつもりと もう少しだけお前と居たいからと
私は頑張ってるよね お前は分かっているよね 母は私を振返る 
叫んでおくれよ あの夜空に向かってさ まだ私を迎えに来ないでと 
母に伝えてよ! お前にならそれができるはず 私はまだ息子と暮らすつもりと
あれは・何? 母が私の袖を掴む あれは星 そう・あんたの命
あれは・何? 母が私の腕を揺する あれは俺 あんたの命を守る星
私は頑張ってるよね お前は分かっているよね 母は私を振返る 
叫んでおくれよ あの夜空に向かってさ まだ私を迎えに来ないでと 
母に伝えてよ! お前ならそれができるはず 私はまだ息子と暮らすつもりと
あれは・何? 母が私の袖を掴む あれは星 そう・あんたの命
あれは・何? 母が私の腕を揺する あれは俺 あんたの命を守る星

☆ 制作背景:
母は「お前を見ていると私の母が目の前に居るようだ」とよく言います。私の髪の毛はウェーブで波打っています(確実に薄くはなっていますが。。)。もう、現在の母はすっかり子供時代に戻っている時間が長くなりました。私の事を「おじちゃん・・」と呼ぶ瞬間さえ多くあります。幼い頃の優しくしてくれたイサム兄さんと暮らした頃を思っているのでしょう。母に対して母である事を要求し続ける事は困難。それは老いゆく形の一つではないでしょうか。「何だか分からないが・・怖いから。いつもお前の傍にいたい。お前なら私を守ってくれる気がする・・。時に、母は自らの余命を感じる瞬間があるのではないかと思います。
私は母と暮らすようになり、【命】の大切さを実感しています。
posted by たかっさん at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 介護家族

☆ 秋:夕暮れ  2006.11

試聴:秋:夕暮れ
 
@
ほら・どう思う・あの空を 母が古い映画のヒロインみたい
夕焼けを前にして椅子に座ってさ 私の・そばで腕組みしてる
母にはあの空・見えるのだろうか 弱った視力が少し気に掛かる
長い道のりを歩いた母は 時に・ああして昔を探してる
  生きる事に疲れた・とか 足でまといになりたくない・とか 
そんな思いは持って・欲しくない 
生きてきて良かった・とか それなりに幸せだよ・とか 
そう思って・欲しい
ほら・見てご覧・夕陽が動く オレンジみたいな顔して こっちを見てるよ 
A
母が・私を見る・空を指さす お前は飛行機・乗った事があるかいって・さ
私は・そんなモノはいらない もうすぐあそこに行ける・と 哀しいジョークを言う
突然・母が口にする夕餉の支度 買物に行くのを忘れた・と言う
お前は今夜・何が食べたいかと 有り合わせでいいよとわたしは・応える                                 
 そうじゃないでしょう・とか 何回言ったら分かるの・とか 
こんな時には言わない方が・いい
母が母であろうとする・事 柄の間であっても・いい
それは・とても大事な・事 
もう・陽が沈む・家の中に戻りましょう 山積みの洗濯物でも畳んでみます・か
生きる事に疲れた・とか 邪魔者にはなりたくない・とか
そんな思いは持って欲しくない
あんたと暮らして良かった・とか 親ってやっぱりいいもんだよ・とか
そう・思わせてくれ
ほら・見てご覧・もう日が暮れた 部屋の窓から町灯り・見える・はず
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☆ ふる里へ帰ろう 2006.08

試聴:☆ふる里へ帰ろう
 
@
ふるさとへ帰ろう 君が育った町へ 
君の母が待ってる 老いた身体を横たえて・・君の帰りを待ってる
自分の命を削り 君を育てた母が 
君が忘れかけたふるさとで 老いた身体を横たえて・・君の帰りを待ってる
ふるさとへ帰ろう 君が育った町へ
老いゆく母は語らない 救いなど求めもしない・・それが何故だか分かるかい 
ふるさとへ帰ろう ふるさとへ帰ろう 老いた母の為に
あの日、優しさを・・ふるさとに残し 君は都会に憧れて・・しまった
そして、君はそこで何を・・得たのだろう 今でも拘る何かが・・あるのかい
ふるさとに沈む夕陽は・・あの日と同じ、だけど 君が母を最後に見たのは・・いつ 
君が何かと闘い・・もがく間に・・君の母も老いに苦しんでいる
ふるさとへ帰ろう ふるさとへ帰ろう 君自身の為にも
A
ふるさとへ帰ろう 君の育った町へ
そこで君は必ず 大切なモノを見つけるだろう・・今の君が忘れてる何かを
自分の命を削り 君を育てた母が 
君が忘れかけたふるさとで 老いた身体を横たえて・・君の帰りを待ってる
ふるさとへ帰ろう そして、多くは望まない
君は母の手を取り 「今、帰って来たよ」・と・・声を掛けてくれ
ふるさとへ帰ろう ふるさとへ帰ろう 老いた母の為に
私も自分の暮らしに・・疲れた時 ふるさとに救いを求めていた
だけど、今、思えば・・母はその頃 老いの狭間に喘いでいた 
今でも母であって・・欲しいとは思うが  母がいるのは私の記憶の・・中
それは、母との暮らしを・・始めればこそ・・分かり出した事  
ふるさとへ帰ろう ふるさとへ帰ろう 君自身の為にも
posted by たかっさん at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 介護家族

☆ 立田山自然公園にて 2004.03 

試聴:☆立田山自然公園にて
 
@
ユラユラ ユラユラ陽炎の中 
ユラユラ ユラユラ母が杖をつく
ユラユラ ユラユラ陽炎の中 
ユラユラ ユラユラ母が歩き出す
雨上がり 夏も近いある日の早い朝
今日は母がいつものデイを休む
たまには息子と一緒に どこかに出掛けたい・・母が言う
そうだね雨上がりの緑がきれいかも
私は即座に応える
たまには母と一緒に同じ時間を過ごすのもいい
立田山自然公園遊歩道 私の家から車で僅かに5分
車椅子はいらない 母は急げ急げとせかす
立田山自然公園遊歩道 母のお気に入りの場所
訪ねる度に色を変え 四季折々の自然がそこにある
ユラユラ ユラユラ陽炎の中
ユラユラ ユラユラ母が杖をつく
朝日に輝く芝生が綺麗だね
裸足で歩いてみようかしら
ユラユラ ユラユラ陽炎の中
ユラユラ ユラユラ母が歩き出す
A
立田山自然公園遊歩道 母の見つけた安らぎの場所
育った家の庭にも 大きな池があったと母は言う
立田山自然公園遊歩道 母の記憶を呼び起こす場所
こんな所に住めたら さぞかしいいだろうねといつも言う
立田山自然公園遊歩道 母がいつも口にする場所
菖蒲池の真上に うっすら虹が架かりだす
母には虹が見えているのかしら
虹に向かって母が歩き出す
車椅子を片手に私は束の間の奇跡を見る
ユラユラ ユラユラ虹に向かって
ユラユラ ユラユラ母が杖を棄てるユラユラ ユラユラ母が虹の中を
ユラユラ ユラユラ歩き始める
ユラユラ ユラユラ母が虹の中を
ユラユラ ユラユラ今、歩き出す
歩き始める!
ユラユラ ユラユラ虹に向かって
ユラユラ ユラユラ母が杖を棄てるユラユラ ユラユラ母が虹の中を
ユラユラ ユラユラ歩き始める
ユラユラ ユラユラ母が虹の中を
ユラユラ ユラユラ今、歩き出す
歩き始める!

制作背景:
母を佐世保から熊本に連れて来て同居を開始したのは2003年3月末。当時の母は四つん這いで移動するにも膝と肘には長年の痛みがあって無理。杖を使わせるにも誰かが一度は立たせる事が必要。そして、杖を使ってもせいぜい4m程度の歩行が限度。目を離すと腰折れで倒れこむ・・そんな状況でした。既に、母は腰骨と左股関節に骨折があったのです。しかし、手術をするにも高齢に加えて心臓が弱く麻酔の適正な量が分からないなどの理由でできないでいたのです。
私は仕事の多くを返上して歩行訓練で筋肉を強化しようと母を自宅近くの立田山自然公園に連れ出しました。実は、私自身も2001年には野球の練習の最中に転倒して腰椎分離骨折という骨盤のすぐ上の腰骨を縦に骨折したままなのです。手術を勧める医者がいるかと思えば腹筋を鍛える事で日常の生活だけなら過ごせるはず・という医者もいました。骨は筋肉を支え、筋肉は骨に支えられているからです。
母の話に戻りますが、立田山での歩行訓練が終れば自宅で鍼、灸にマッサージを施し、疲れた表情がある時には歩行訓練は中止して、ドライブにと大津や合志、菊池方面へと繰り出しました。やがて、母は杖で歩く距離を800m、2kmと伸ばしていきますが、今度は「・・佐世保へ帰る。一人で暮らせるよ・・お願いだから返して・」と言い始めました。歩行に自信がついたから帰るのではなく、元々から歩けていたんだ・という意識。息子と一緒にトレーニングに励んだという事実は・母の記憶にはなかったのです。この時、私は介護の大変さに気づきました。母が91歳の時です。もう、このまま放っていては母の認知が進み、人間性さえ崩壊してしまう・・どうにかしないといけない・・、私の厳しい精神修行が始まりました。
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☆ 水無月の頃  2006.08

試聴:水無月の頃
 
@
今は水無月の頃 今年の夏は早い 母と暮らし始めて・・4年目の夏
青空が見えてきた 黒い雲が逃げていく  
母は今朝から写真を広げ 首を何度も傾げてる  
窓を少し開けましょう 紫陽花が見えますか?  
母は右手でメガネをずらし・・私を手招きする
雨上がりの立田山 散歩に行きましょう
車椅子も積みましょう 菖蒲も見たいでしょう・・
貴女の好きな青空に 虹が掛かるかも・・
A
今は水無月の頃 今年の夏は早い 母と暮らし始めて・・4年目の夏
陽射しが強くなる もう少し待ちましょう 
レトロショップで買ったラムネ水 冷やしておきましょう
みね子サンの手紙を もう一度読みましょうか 
貴方は覚えているかしら・・電話をかけましょうか?
雨上がりの立田山 散歩に行きましょう
車椅子は積みました 菖蒲も見たいでしょう・・
貴女の好きな夕焼けを 見るのもいいかも・・
雨上がりの立田山 散歩に行きましょう
貴女の好きな野の花 摘んであげるから
枕元に飾りなさい 夢を見れるかも・・
今は水無月の頃 今年の夏は早い 母と暮らし始めて・・4年目の夏
 
posted by たかっさん at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 介護家族

☆ 母のふるさと 2006.01

母のふるさと
 
@
君とこうしてここを訪ねて 母の育った古里の事を
君とこうして話してみて 気づいた事がある
海も山も人も空気も 全てが息づいてる
母の古里・歌が浦 九十九島の北の町
ひとことで言ってしまえば 街中に緑が溢れてる事さ
そしてひとことを付け加えたら 海が素敵な街って事さ
何よりも言いたい事は人の心が自然って事さ
海も山も人も空気も 全てが息づいてる
母の古里・歌が浦 九十九島の北の町
 
A
頬を撫でる風のささやき 人の思いの深さを感じる
私が求める永久の安らぎ ここにはそれがある
隠れ切支丹・しとね崎 今は昔の歴史が漂う
長い時代を生きてきた 人々が今でも暮してる
長串山から平戸を望めば 眼下に広がるお伽の世界
そしてキラキラ輝く波の上 浮かぶ釣り舟と白い観光船
夕日に向かって手を伸ばせば 君なら掴めるかもドラマのヒロイン
海も山も人も空気も 全てが息づいてる
母の古里・歌が浦 九十九島の北の町

ひとことで言ってしまえば 街中に緑が溢れてる事さ
そしてひとことを付け加えたら 海が素敵な街って事さ
何よりも言いたい事は人の心が自然って事さ
海も山も人も空気も 全てが息づいてる
母の古里・歌が浦 九十九島の北の町
 

制作背景:
母は長崎県北松浦郡佐々の生まれ。その後、父親が平田山炭鉱を開業するに際して歌が浦に移り住み、この地から対岸の平戸高等女学校に進みます。歌が浦はいい所です。近くの長串山からの眺望は絶景。まるでスーパーディズニーです。春のツツジ祭り、夏の澄んだ海、そしてマリア様像・・。「これが私の最後の旅かしら・母がポツリと言う・・」、これは[潮騒の町]という別な作品の冒頭の部分ですが、私は多くの作品に母の故郷の歌が浦を扱っています。町中には教会が幾つもあって島原の乱から逃れた切支丹の末裔の方々が多く住むこの地が母のふるさとです。

posted by たかっさん at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 介護家族

☆ 母がピエロになっていく 2003.10

母が少しずつピエロになっていく
母が少しずつピエロになっていく・・Oh

母がうたた寝をする 秋の日差し背中に受けて 
重い人生背負い 歩き続けた母が日向で舟を漕ぐ
夢を見ているのかしら 優しく笑う一瞬(トキ)がある
辛い記憶は薄れ 楽しい記憶を支えに今を生きている
遠い記憶を探し 私を見つめる母
気づけば母の中では 私はいつの間にか兄になっている
この人は誰? だったらこの人は誰?
アルバム広げる母の指からこぼれる写真 それは家族の写真
今、私はどこにいる? どこで育ったの?
私の母は誰? そして、父は誰? 私は・・誰?
私はいつからここに居る? どうしてここに居るの?
私は深江に帰るよ! そこが私の死に場所!・・母が叫ぶ
 
巡る・・巡る 季節は巡る 巡る・・巡る 思いは巡る
いつしか巡る季節を忘れ いつしか自分の家族を忘れ・・
母が少しずつピエロになっていく
母が少しずつピエロになっていく・・Oh


アンタの嫁は誰だい? アンタは私の子かい?
だったらずっとここに一緒に居てもいいよね? それが口癖
たまには手伝いましょうか? 母が流しの前に立つ
包丁渡してみれば リンゴの皮さえ剥けない母がそこにいる
夜の冷たさに 腰が・・膝が痛いと言う
擦ってあげれば 私に両手を合わせて 母が目を伏せる
昨日の事のように昔を語る母
いつも遊んだ裏庭 親にねだった飴玉 母は娘になっている
母はまだ若い頃 働いた時期がある
博多駅のすぐ裏 高口ハガネ店 タイプを打っていた
優しいご主人と勝気な奥さんで
だけど、とても大事に扱ってくれたらしい 母は覚えている

巡る・・巡る 季節は巡る 巡る・・巡る 思いは巡る
いつしか巡る季節を忘れ いつしか自分の家族を忘れ・・
母が少しずつピエロになっていく
母が少しずつピエロになっていく・・Oh

母が少しずつピエロになっていく
母が少しずつピエロになっていく・・Oh

母が少しずつピエロになっていく
老いを重ねる母の 移ろう時は早い全てはモヤの中
母が少しずつピエロになっていく
夢と現つの狭間 老いに戸惑いながら 母は生きている 母は生きている!
母がピエロになっていく
 
 
http://haha-inoti.cocolog-nifty.com/hahaga_pieroni_natteiku.mp3

 

posted by たかっさん at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 介護家族