2007年12月23日

☆ ひととき  2005.12

試聴:ひととき
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母はコタツの中で両手を擦る そして、痛む膝を擦り出す
私は少し猫背で頬杖をつき 薄目を開けてTVを見ている
やがて母はミカンに手を伸ばす そして、右の頬に当てている
私は穏やかな時を感じながら いつか眠りに落ちていく
漂う香りの中私は目覚める 母は座椅子枕に眠っている
私の前には袋まで剥かれたミカン そして、肩には毛布が掛けてある
嗚呼、こんなにのどかで穏やかなのに こんな暮しがずっと続けばいいのに・・
尽きる事ない命がずっとあればいいのに 母を見ていて・・そう思う
母は生きている それは事実 今は私のそばに居る
何も望まない 健やかであればいい 母を見ていて・・そう、思う
A
誰もがそうだろう 私は18で親の元を遠く離れた
親は頼るもの 永遠にいるものだと勝手に思い込んでいた
そして、幾歳を過ぎ 気づけば父は世を去り 老いに戸惑う母が居た
立つ事さえも侭ならぬ母を見た時 私は自分の生き方を悔いた
時に人を傷つけ 時に父さえ憎み 責めた事はあっても
老いた母を見た時 曲がった背中に手を添え 泣いた事など初めての事
嗚呼、こんなにのどかで穏やかなのに こんな暮しがずっと続けばいいのに・・
尽きる事ない命がずっとあればいいのに 母を見ていて・・そう思う
母は生きている それは事実 私と共に暮してる
妻さえ許せば私の命の残り 母に返したい・・そう、思う
B
やがて母が静かに動き出す 自分で剥いたミカンに目をやる
「これはアンタが剥いたの? 袋まで取ったの?」・・母は、もう・・忘れてる
私は無言で一つ摘んで 母の口に放り込む
「ああ、冷たいね 美味しいね これなら歯茎を痛めない」
お茶でも入れましょう チャンネル変えましょう 相撲が終ってしまうから
貴女の大好きな朝青龍 一番だけでも見たいでしょう?
嗚呼、こんなにのどかで穏やかなのに こんな暮しがずっと続けばいいのに・・
尽きる事ない命がずっとあればいいのに 母を見ていて・・そう思う
母は生きている それは事実 私のそばで暮してる
何も望まない 健やかであればいい 母を見ていて・・そう思う
posted by たかっさん at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 介護家族
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